Magentoバージョン

Magentoできるもん!:>Magentoバージョン

「Adobe Commerce Cloud」という製品名の意味するところ

By |2019-05-07T09:49:27+09:002019年4月24日|Categories: Magentoバージョン|Tags: , , |

1. Magento CEO Mark Lavelle氏の退任

先日、4月18日に、MagentoのCEO Mark Lavelle氏の退任が、Magentoの公式ブログと氏のTwitterで公表されました。

A Farewell Message from Mark Lavelle
https://magento.com/blog/magento-news/farewell-message-mark-lavelle

Magento CEO 退任

Mark Lavelle氏がどのような人物か知らなかったのですが、どうやら、元々はeBayの人で、Magentoの開発者ではなく、純粋にビジネスマンとして、と同時にMagentoコミュニティへの良き理解者として、MagentoがeBayから独立する前後で、MagentoのCEOに就任したようです。なので、Magento2.0のリリースから、昨年のAdobe買収に至る、激動期のMagentoを率いたことになります。
多くの人が突然の公表に驚いたようですが、中には想定していた人もいるようで、買収後の常道という受け止め方もされているようです。

私はこのニュースをTwitterで知ったのですが、驚きというよりも、上記ツイート ”I know the best is yet to come for Magento!”「Magentoのベストはまだ来ていない(これから来る)」という最後の一文の余韻に、何か胸騒ぎのようなものを感じました。アイロニーがあると裏読みしたのではなく、むしろ、悲哀のようなものが漂っていると感じたのです。

2. Adobe Commerce Cloudのリリース

Mark氏の退任に先立ち、Adobeは、すべてをCloudでマネージドした Experience Cloud 内の製品パッケージの一つとして、Commerce Cloud をリリースいたしました。
https://techcrunch.com/2019/03/26/adobe-launches-its-commerce-cloud-based-on-its-magento-acquisition/

Adobe USA – Adobe Commerce Cloud, part of Adobe Experience Cloud
https://www.adobe.com/commerce/magento.html

Adobe 日本 – Adobe Experience Cloudに統合されたMagento Commerce Cloud
https://www.adobe.com/jp/commerce/magento.html

このCommerce Cloudは、Magento2をベースにしていますが、Adobe Experience Cloud内の他の製品(Analytics、Marketing、Advertisingなど)と連携した、Adobe独自の製品としてCloud上で統合されています。
注目すべきは、AdobeのUSAサイトでは、すでに製品名から「Magento」の名が消えて、「Adobe Commerce Cloud」と名づけられ、ロゴもAdobeシリーズ寄りに一新されていることです。

Adobe Commerce Cloudリリース

ただ、この「Adobe Commerce Cloud」の名とロゴが使用されているのは、まだアメリカとカナダのサイトのみで、日本も含めて他の国のAdobeサイトでは、「Magento Commerce Cloud」の名とMagento2の従来のロゴが使われています。アメリカ/カナダのAdobeサイトでも、ImagineというMagentoのイベントのバナーが貼られているので、AdobeサイトからMagento要素が消えてしまった、というわけではありません。今後、全世界的に「Adobe Commerce Cloud」の製品名で統一されていくことになるのかも、現状では、傍目になんとも言えない状況です。

ただ、この一新された名とロゴの指し示していることは、AdobeのCloudサービスに統合された「Magento2」は、コード的な中身はMagentoベースだけれども、製品としては、もうすでにAdobe独自のものになっている、という歴然とした事実です。

昨年の記事 Adobe+Magentoはオープンソースであり得るのか にも書きましたが、AdobeによるMagentoの買収で懸念されていることは、Magento2のオープンソース(無料版)が閉じられてしまうことです。
これに対しては、Adobeの開発もオープンソース化している面もあり、Adobe自身がMagentoのコミュニティに価値を見出した上での「買収」であるから、その中心にあるオープンソースの唐突なシャットダウンは考えられない、というのが一般的な見解です。

楽観的な見通しは、AdobeのCloud製品とMagento2のオープンソース版が永続的に共存し、オープンソースがCloud製品への集客としても効果的にワークするような状態です。(PhotoshopとPhotoshop Elementsのような関係を想像してもいいかもしれません。)

Magentoには素晴らしいコミュニティがあります。それは、Ecosystemとも言われていますが、Magento社、開発者、ベンダー、サードパーティー、エンドユーザー、それぞれがこのコミュニティの中で役割を果たし、それぞれが利益を享受できる、理想的な相互関係です。私も、一ユーザーとして、MagentoのEcosystemが存続してほしいと願っています。

しかし、Adobeには、Adobe独自のEcosystemが存在しています。
買収という事実を踏まえ、ニュートラルに考えれば、Magentoの既存のEcosystem(パートナー会社)は、AdobeのEcosystem内に、必要に応じて段階的に(もしくは選択的に)統一されていくのではないだろうか、という予想が自然と成り立ちます。

果たして、そうなった時、Magento2のオープンソースがどうなるのか、今のところ、全く予断ができません。

確実に言えるのは、Adobeは株主のいるバリバリの営利企業であり、$1.68ビリオンで買収したMagentoに、しっかり利益を出してもらわなければならない、そうでないと困る、ということです。

ある意味、「Adobe Commerce Cloud」は、Magento3とも呼ぶべき存在です。
これは、「Magento」という名の消えたMagento3の原型であり、すでに閉じられた環境へとシフトしつつあると見ることもできます。

3. Magentoの2020年問題

Magento2のオープンソースの行き末を考える時、参考になるのは、今まさに現在進行形であるMagento1の終わり方です。

Magento1系のサポート期限は、2020年6月までとアナウンスされています。もともと、2018年11月までの期限とされていましたが、2020年に延長されました(ご参考:Magento1.9のサポート期限が延長されました)。そして、どうやら、今回は本当に2020年の6月で、Magento1系の公式サポートは打ち切られると予想されます。

Magento1ユーザーは、Magento2への移行か、他のECプラットフォームへの移転を計画する時期なのですが、一方で、Magento1を使いつづけるという選択肢もあります。それは、Magentoのコミュニティで継続されるサポートサービスを利用する方法で、私の知っている限りでは、すでに以下の二つのポータルがあります。

Mage1 Long Term Support Magento 1.9.x after 2020
https://mage-one.com/

OpenMage Magento Long Term Support
https://openmage.github.io/magento-lts/

公式サポートも延長され、その後もコミュニティからのサポートポータルが立ち上がる。Magento1は、とても恵まれたプラットフォームで、これは、ひとえに、Magento1のユーザーが多いからこその結果と言えます。
Magentoのシェアはここ数年で減少していますが、現在もMagentoユーザーの全体のうち、80%〜90%が、依然としてMagento1系を使っていると推計されています。

ECプラットフォーム シェア

上の図は、BuitWithという調査サイトでの、ECプラットフォーム別の世界シェアを示したグラフです。アクセス数のTop1ミリオンサイトから、ECサイトのみを抽出し、(おそらくコードから)プラットフォームを自動判別した推計データです。
2019年4月現在、1位がWooCommerce(WordPress)22%、2位がShopify 18%、3位がMagento 12%となっています。

AheadworksというMagentoベンダーが、やはりTop1ミリオンサイトを基準に2015年10月に調査したデータでは、Magentoオープンソース+MagentoEE(有償版)は、合計で30%を超え、当時、世界シェアNo.1でした。
https://www.aheadworks.com/blog/ecommerce-platforms-popularity-october-2015-top-five-solutions-take-three-quarters-of-the-market/

調査条件や手法がすっかり同じではないと思うので、純粋に比較するのは難しいのですが、Magentoは、Magento2をリリース以降、その世界シェアを30%台から12%に大きく後退させたことになります。
しかも、現在のMagento利用者のうち、8-9割がMagento1系の残存組なので、2020年6月でサポートの切れる1系を除いて、仮にMagento2系ユーザーだけでMagentoの世界シェアを推計すると、向後1年の伸びを考慮したとしても、わずか1%〜2%ほどしかないという数字が導き出せます。

これは、Magentoの2020年問題ともいうべき大問題です。

ユーザーのいない(少ない)Magento2が、数年後どうなるのか。Magento1のような長期のサポート環境が確保されるのか。
2020年以降、Magento1系から2系への移行特需がなくなった後も、AdobeにとってMagentoコミュニティ全体が「価値あるもの」と映るのか。
Magento/Adobe社は、将来の影響を最小限にとどめるため、意図的にオープンソースのユーザーを減らそうとしているのではないか。

Magento2を導入する場合には、このような視点からもその是非を検討する必要があります。
あるいは、そもそもの初めから、Adobe Cloudの有償製品のみを、今後の「Magento」の第一選択肢として考えるべきなのかもしれません。

もちろん、これは私の個人的な見方で、必ずこのような方法へ向かうと確信しているわけでもありません。Magentoの将来には、様々なバリエーションが想定されると思います。

ただ、Mark Lavelle氏の退任と、「Adobe Commerce Cloud」という製品名を同時に思う時、オープンソースとしてのMagento2の未来は、100%視界良好と言うわけにはいかないと、そういう感慨を抱いています。

追記(2019年5月4日):
Adobe社でMagento2のAdobe製品への統合をしている開発者のPeter Sheldon氏は、Jamersanホストのインタビューで、Magentoのオープンソースは継続(27-31分あたり)、また、オープンソースは小規模のストア運営者向けに(1時間10-13分あたり)、という趣旨の発言をしています。(*あくまでも現段階でのAdobeの広報的なニュアンスもあるかと思いますが。)
Adobe Commerce Cloudは、方向性としては完全に大規模エンタープライズ向けで、Salesforce Commerceや、Oracle ATG、IBM WebSphereとの競合を意識しているようです。

Magento2.3管理画面の無料デモを公開!

By |2019-04-13T15:33:34+09:002019年1月26日|Categories: Magentoの設定, Magentoバージョン, Magentoテーマ|Tags: , , , |

1. Magento2系最新バージョンの管理画面デモ

以前よりリクエストのあったMagento2管理画面のデモを一般公開しました。
こちらのリンクより、Magento2 管理画面(Backend)のログイン画面にアクセスできます。管理画面の中に入るには、以下の画像のログイン情報をご利用ください。

Magento2 管理画面 無料デモ(こちらからログイン)>>

Magento2管理画面ログアウト

管理画面からログアウトをするには、画面右上のアカウントアイコンの▼マークをクリックすると、プルダウンが開きますので、そこから「Sign Out」をクリックしてください。

また、こちらの管理画面内で編集作業をすると、FrontendのMagento2デモLumaテーマの表のサイトに直接反映されますので、どうぞご留意ください。もちろん変更や編集をしていただいて構いませんが、次にアクセスされる方のために、できるだけ元に戻しておいていただけますと大変ありがたいです。
尚、一部機能には制限をさせていただいておりますので、どうぞご了承ください。
サイトのどこかに不具合があったり、レイアウトがガタガタに崩れていたりしましたら、お問い合わせよりご一報をいただくか、Magentoフォーラムにてご投稿いただけますと助かります。

Magento2管理画面

Backend(管理画面)

Magento2デモ Lumaテーマ

Frontend(表のサイト)

2019年1月現在、このデモサイトは、Magento2系の最新バージョン、2.3.0をインストールしています。画面のインターフェイスは、2.2系から大きく変化はしておらず、2.3系の目玉であるPWA Studio(PWAストア開発ツール)は本体に同梱はされていません。Page Builderについては、2.3.1バージョンから有料のCommerce版に先行搭載されています。
今後も公式のアップデートがありましたら、このデモサイトも随時アップデートをしていく予定です。(*)

Magento2がどんなものか興味がある、とりあえず管理画面を見てみたい、すこしだけ触ってみたい、そんなニーズにお応えするために、管理画面デモを公開しました。ぜひ実際にログインして、中を見て、Magento2がどんなものかをご確認ください。

2. Ultimoテーマのデモサイトアップデート

また、Magentoデモのページでもご案内しているUltimoテーマも、デモサイトを2.3系にアップデートしました。
マルチストアも、English、简体中文、繁体中文の、3ストアビューの構成に変更し、それぞれ異なるUltimoテンプレートをインポートしています。右上の言語スイッチャーからストアの切り換えができ、3つのサブドメインで表示されます。どのストアも、中身はほぼLumaテーマのサンプルサイトのままで、骨組のみを設定し、細かい部分は編集していません。
中国語ストアも、コンテンツは英語のままですので、言語ロケールをインストールすると、どの部分が翻訳に反映されのるか一目瞭然になっております。

Magento2 Ultimoテーマデモ English
Magento2 Ultimoテーマデモ English(公開終了)
Magento2 Ultimoテーマデモ 中国語(簡体字)
Magento2 Ultimoテーマデモ 中国語・簡体字(公開終了)
Magento2 Ultimoテーマデモ 中国語(繁体字)
Magento2 Ultimoテーマデモ 中国語・繁体字(公開終了)

今回のデモサイトのアップデートで、Magento1.9系のMadison Islandサンプルテーマは公開を終了させていただきました。
また、Magentoテーマにてご紹介している、FastestテーマやClaueテーマも、デモサイトは公開終了としました。Portoテーマにつきましては、機会を見て、最新バージョンのデモサイトを設定し直す予定です。

Magento定番Ultimoテーマを購入する(英語)

追記(2019年2月25日):
Portoテーマの新しいデモサイト(Magento2.3)も公開しました。Magentoデモにてご確認ください。

* 追記(2019年3月29日):
LumaテーマとUltimoテーマのデモサイトを、2.3.0→2.3.1にアップデートいたしました。

追記(2019年4月13日):
UltimoテーマとPortoテーマのデモサイトは、公開を終了とさせていただきました。

Magento2.3リリース!PWAを実装した新しいMagento

By |2019-03-09T08:40:03+09:002018年11月25日|Categories: Magentoの設定, Magentoバージョン|Tags: , , , , |

1. Magento2.3.0リリース

先日、Magentoの公式ブログにて、Magento2.3.oバージョンが、2018年11月28日にリリースされると公表されました。来年1月〜3月くらいにずれこむことも噂されましたが、当初の予想通り、2018年秋-冬にリリースとなりました。

今回の2.3系は極めて重要なアップデートで、これによってMagento2は、新しいECサイトのスタンダードを実現した、と言っていいくらいのインパクトを持つのではないかと思います。

Magento2.3リリース

同日には、Magento2.2系以下のアップデートもリリースされます。
すでにMagento2.2系で運営されている方は、当面は2.2の最新バージョンへのアップデートをして、2.3.0はデモでさわることが推奨されます。来春以降には2.3.1、2.3.2、と修正がされてくるでしょうから、そのあたりでライブ環境へのテストをしてみるのがスケジュール的にはいいかもしれません。

今回の2.3で新しく実装されるものとしては、PWA(Progressive Web Application)と、Page Builder の大きく二つの機能があります。特にPWAに関しては、多くのEC事業者が待ち望んでいた革新的なものになると思います。

2、Magento PWA – ECストアのモバイルアプリ化

PWAは、一言で言えば、ECサイトのモバイルアプリ化機能です。

本当は「アプリ」ではないのですが、PWAの実装により、ユーザーがモバイル環境で、MagentoのECサイトを「まるでアプリのように」利用することができるようになります。サイト(PWA)のアイコンがスマートフォンのホーム画面に設置でき、ストア内のローディングもブラウザより速く、プッシュ通知機能や一部オフラインでの稼働も可能となります。
PWAで集客してストアへ誘導するというわけではなく、PWAがストアになっているので、PWA内でユーザーからのご注文が完結します。

元々PWA(Progressive Web Application)は、Googleが2015年頃から開発していたオープンソースの技術で、Magento社はそれを導入し、Magento PWA Studioという、MagentoのコアとなるモジュールとしてGitHub上で開発してきました。そして、このPWAは、GraphQLという言語をサポートする2.3系から、Magento2本体機能に実装される事になりました。

スマートフォンが普及し、ユーザーからのアクセスがスマホからが主流となるここ数年の流れの中で、ECサイトの運営者は、コンバージョンの低下に悩んできました。PCサイトからのコンバージョンが平均3%とすると、スマホからのコンバージョンは(レスポンシブにしていても)1%程度と言われています。
一方、ユーザーのモバイルアプリの利用時間が飛躍的に伸び、大手ECプラットフォームのモバイルアプリからのコンバージョンは、5-6%と高い数字が報告されています。

しかし、自社サイトをモバイルアプリ化するのはコストが高く、また実際にアプリをリリースするにはApp StoreやGoogle Playストアの審査を経なければならないので、小規模の事業者にとってはハードルが高く感じられてきました。

PWAは、そのようなEC事業者の悩みを解決する革新的な技術です。
つまり、Magento2でECストアを構築すれば、ブラウザで閲覧されるサイトに加えて、それがそのままアプリのような外見で、まるでアプリのような感覚で、ユーザーの手元のスマートフォンでも動いてくれるのです。PWAがコンバージョンの上昇にプラスに働くのは必至と考えられます。

ただ、アプリストアからのダウンロードという形での集客はできないので、あくまでサイト来訪者にPWAアイコンをアプリ風に設置してもらうことが導線となります。そこがネックといえばネックですが、通常のエンドユーザーにとっては、一度端末にPWAがインストールされれば、それがネイティブアプリなのかPWA(Webアプリ)なのかで大きな違いはなく、それよりもスマートフォンで実際に快適に利用できるかどうかがポイントになります。

このスマホ全盛時代においては、ECストアのモバイル経験をより良くし、多様化、洗練化させていく方向に対応していくしかありません。ですので、すでにストアをアプリ化した事業者にとっても、PWAは有力なツールといえるので、今後、ECストアの形態として一般的なものになっていくと思われます。

Googleの技術ということもあり、将来的には、サイトがPWA化しているかどうかが、SEOのアルゴリズムにも加味されるようになる可能性もあります。

3、Page Builder – 直感的デザインツール

Page Builderは、Magento管理画面内での直感的なデザインツールです。

同種のものは、サードパーティのベンダーからもいつくか出ていましたが、今回、Magento本体にもオフィシャルに導入されることになりました。
これにより、コードが分からないサイト運営者も、クリックとマウスドラッグとテキスト入力だけで、ある程度自由にページデザインをすることができるようになりそうです。

正直、 Magento2のレイアウト設計は複雑です。
classがテーマのxmlファイルで組み込まれていたり、デフォルトのLumaのものだったり、管理画面のwidgetから任意で組み込むこともできたり、また、それらがCMSで編集できるとしても、どのCMS Blockに紐づけられているかを、ビジュアルで確認することができません。なので、「ここをこう変更したい」と思っても、どこを編集すれば反映されるのか、あるいはコードをいじらなければ変更ができないのかが、サイトのインターフェイスを見ているだけでは分からないのです。

このPage Builderの導入により、管理画面から直感的にページデザインを組むことができるようになるので、レイアウトの複雑さが改善され、Magento2を初めてさわる人にはとても便利なものになると期待されます。
(もちろん、従来のCMS編集がベースになっているので、Page Builderは無効にしておくこともできると思います。)

4、Magento2.3系からが、本当のMagento2(になりそう)

上記のPWAとPage Builder以外に、Magento2.3の新しい特徴としては、PHP7.2のサポート、非同期APIリクエスト対応、Elasticsearch対応、複数在庫元管理の対応、WYSIWYGのアップグレードなど、大きな変更があります。
また、Google ReCAPTCHAや管理画面ログインでの二段階認証の標準装備など、セキュリティ機能面での向上もあります。

昨年の12月には、Magento2は本当に使えるのか?などという(ちょっと挑発的な題で)記事を書きましたが、1年が経ち、ついにMagento2は、本物のMagento2になりつつあるという感を抱いています。

特に、PWAの実装は、今後のECサイトのあり方を決定づける、エポックメイキング的なものとなるかもしれません。
具体的な仕様は、実際にMagento2.3をさわってから、また後日このブログにてご報告させていただければと思います。

追記(2019年3月9日):
PWAもPage Builderも、3月中にリリースされる2.3.1バージョンからの実装となりそうです。
PWAは、Magento2の既存テーマのシステムとは違い、ReactというJavaScriptによって、デザインを一から作成しなければなりません。つまり、管理画面でPWA設定を有効にすればすぐにMagento2のストアがPWA化されるというわけでもなく、PWAストアのための新しい開発や作り込みが必要となります。なので、開発のためのツールがMagento2に導入される、という風に理解したほうがいいかもしれません。PWAの作り込みがどこまで簡単になるか(非開発者でも作業できるようになるか)は、いまのところ何とも言えません。
VeniaというPWAのサンプルストアが、Magentoの開発チームにより公開されています。スマートフォーンでアクセスをするか、Chromeでスマホ画面表示でご確認ください。


Magento2 PWAサンプルストア Venia
https://veniapwa.com/

Magento1.9のサポート期限が延長されました

By |2018-09-30T21:16:17+09:002018年9月10日|Categories: Magentoバージョン|Tags: , |

表題の通りなのですが、Magento1系(Magento1.5,1.6,1.7,1.8,1.9系)のサポート期限の延長が、Magento社から正式にコメントされました。
従来、2018年11月までといわれていた期限が、2020年6月までに延長されています。

Supporting Magento 1 through June 2020
https://magento.com/blog/magento-news/supporting-magento-1-through-june-2020

MAGENTO OPEN SOURCE SOFTWARE MAINTENANCE POLICY(PDF)
https://magento.com/sites/default/files/magento-open-source-software-maintenance-policy.pdf

Magento1系サポート期限

昨年あたりから、いろいろ巷の(ネットの)噂で、Magento1系のサポート期限が延長されたと語られていましたが、それは有料のEnterprise版の契約のみで、無料のCommunity版(オープンソース版)に関しては、問答無用で今年秋に打ち切られる可能性もまことしやかに囁かれていました。
(ご参考:Magento1.9と2.xの各バージョンのサポート期限について

しかし、というか、やはりというべきなのか、ここに来て、Magento社は、オープンソースのMagento1系に関しても、2020年6月までセキュリティパッチの提供をつづけると正式にアナウンスいたしました。
もちろん、これはMagento1系のユーザーにとっては朗報なのですが、一方、ここ一二年で苦労してMagento2への移行を実施した運営者の中には、「あんなに急かされたのは一体なんだったのか、、、」という、なんともいえない脱力感を感じている人もいるかもしれません(私もどちらかというとその一人です)。

これは、ある意味、Magento社の敗北宣言ともいえるもので、Magento2系の開発がスムースに進まず、ユーザーへの浸透も思ったようには進まなかったことを、暗に認めたことになるのではないかと思います。
1系のサポートを18ヶ月延長したことで、ユーザーのMagento離反を食い止めることができるのか、それとも、Shopifyなど他のプラットフォームへの流出がつづくのか、いまのところはなんとも言えません。

今後はAdobeの指針が大きなウエイトを占めていくはずので、いままでのような混乱がつづくとは思えないのですが、では、果たして、2020年の6月に本当に1系のサポートは終了となるのだろうか、という、そういう新たな疑念の中にMagento1の運営者は放り込まれたことになります。
実際、Magento社は、Magento1系のPHP7.2への適応パッチを開発しているようなので、理屈上、PHP7.2のサポート期限の2020年11月まではそのまま使えることになります。これは、いまの最新のMagento2.2.xよりも、一年以上も寿命が長いことになります。

もちろん、これから新しくMagentoでサイトを立てる人にとっては、Magento2系が第一選択肢になると思うので、兎にも角にもMagento2系の安定化を願うばかりです。

(追記 9月30日)
Magento1.9.2.xと1.9.3.xのためのPHP7.2適用パッチが早くもリリースされました。

PHP 7.2 Support Patches for Magento 1 are now available
https://community.magento.com/t5/News-Announcements/PHP-7-2-Support-Patches-for-Magento-1-are-now-available/m-p/106999

ダウンロードはこちらからになります。
https://magento.com/tech-resources/download#download2240

今回のPHP7.2パッチは、やはりPHP7.1パッチの提供時にもサポートしたInchooという有名ベンダーが大部分のコードを書いているようです。パッチの適用方法について、Inchooのブログで説明されています。

PHP7.2へのバージョンアップは、1.9系のテーマやエクステンションの対応状況もあるので、適用の是非はテスト環境で試してから判断するようにしてください。

Magento2のアップデート方法(動画の解説)

By |2019-01-19T14:16:11+09:002018年7月18日|Categories: Magentoの設定, Magentoバージョン|Tags: , , |

動画:Magento2.2.2 → 2.2.5へ Composerでアップデート

Magentoのアップデート全般については、Magento2アップデートをご参照ください。
また、アップデート前には、必ずバックアップをとるようにしてください。

1. Magento2のマイナーアップデートについて

先日2018年6月末にMagento2.2.5がリリースされたので、一週間ほどの検討後、2.2.3から2.2.5へのアップデートを行いました。
前バージョンの2.2.4はネットでの評判が良くなかったので、事実上スキップしました。2.2.5では、2.2.4で投入されたバグの大部分が修正されているようです。

私がMagento1からMagento2へ移行したのは、2017年の末、Magento2.2.1バージョンの時で、以後、2.2.1 → 2.2.2 → 2.2.3 → 2.2.5 とアップデートをしてきました。このように、2.2.x の x の部分の数字でのアップデートを、一般的に、Magento2の「マイナーアップデート」と呼びます。上の動画では、Composerを使い、Magento2.2.2から2.2.5へマイナーアップデートをしています。

基本的に最新バージョンを使うべきと思ってはいますが、実際のライブ環境でアップデートを実行すべきかどうかは、導入しているテーマやエクステンションの対応状況を見て、また、そのバージョンの評判なども念入りにチェックし、自分なりのタイミングを慎重に探るべきと考えています。
セキュリティ的には最新バージョンのリスクが一番小さいのかもしれませんが、アップデートの作業そのものに決して小さくはないリスクがあるので、そのバランスの見極めが大切になります。一般論ではなく、各自、自分のサイトの現実的な事情から最適な判断をしていく必要があるのだろうと思います。

2. Magento2アップデートのコマンド一覧

前置きが長くなりましたが、以下、ComposerによるMagento2のアップデート動画で入力したコマンドの一覧です。
コマンドは、すべてMagento2のルートディレクトリ(Magento2のインストールされている階層)で実行します。動画では、cd public_html/demo とMagento2のルートに移動しています。ご自身の環境により、ファイルパスは置き換えてください。

バージョン確認
php bin/magento --version

メンテナンスモードへ
php bin/magento maintenance:enable

Composerインストール(必要な場合)
curl -sS https://getcomposer.org/installer | php
php composer.phar

Magentoのキャッシュクリアと既存の生成ファイル削除
php bin/magento cache:clean
php bin/magento cache:flush
rm -rf pub/static/*
rm -rf var/di/* var/generation/* var/cache/* var/log/* var/page_cache/* var/view_preprocessed/pub/*
rm -rf generated/code/* generated/metadata/*

Composerのキャッシュクリア
php composer.phar clear-cache

Magentoアップデート
php composer.phar require magento/product-community-edition 2.2.5 --no-update
php composer.phar update
php bin/magento setup:upgrade
php bin/magento setup:di:compile
php bin/magento indexer:reindex
php bin/magento cache:clean
php bin/magento cache:flush

メンテナンスモード解除
php bin/magento maintenance:disable

上記コマンドは、冒頭がすべて php になっています。
しかし、動画では、php71 と入力しています。これは動画内の作業環境のデフォルトのphpがphp5.6バージョンなので、別にphp7.1のバイナリを指定しているためです。通常の共用サーバーでは、php のみのコマンドが一般的なので、この解説記事でも便宜的に php で表記しております。例えば、php71 bin/magento --version は、php bin/magento --version になります。
また、VPSやクラウドなどroot権限のある環境では、php ではなく、sudo コマンドの使用が一般的です。例えば、php bin/magento --version は、sudo bin/magento --version となります。さらに、同環境でComposerをグローバルにインストールしている場合、例えば、php composer.phar update は、sudo composer update となります。
コマンドの冒頭は、ご自身の環境により適宜読み替え/置き換えてください。ご不明な点は、先ずはお使いのサーバー会社にお問い合わせされることをおすすめいたします。

尚、コマンド作業がはじめての方は、先ずは「SSHアクセス」や「PuTTY 使い方」「ターミナル 使い方」などのワードで検索をし、コマンドラインの基本をおさえてください。日本語で検索して、わかりやすいサイトがたくさんヒットします。

それでは、各コマンドについて簡単な説明をいたします。

バージョン確認
php bin/magento --version
これは、文字通りMagento2のバージョンを確認するためのコマンドです。ご自身のMagento2のバージョンを確認するためには、Magento2の管理画面の右下にバージョン数が表示されているので、それを見ると分かります。ですので、アップデートのために、あえてこのコマンドを実行する必要はありません。今回はこの動画のために、アップデートの前後に確認の意味で実行しています。

メンテナンスモードへ
php bin/magento maintenance:enable
このコマンドで、Magento2をメンテナンスモードに切り替えることができます。ユーザーからのサイトへのアクセスは遮断されるので、本番環境の場合は事前にアナウンスをしておいてください。

Composerインストール(必要な場合)
curl -sS https://getcomposer.org/installer | php
php composer.phar
Composerが入っていない場合、このコマンドでComposerを新しくインストールしてください。Composerの有無については、次節の説明をご参照ください。
尚、二つ目のコマンドはインストールが正しくされたかどうかを確認するためのものなので、必ずしも必要なわけではありません。

Magentoのキャッシュクリアと既存の生成ファイル削除
php bin/magento cache:clean
php bin/magento cache:flush
rm -rf pub/static/*
rm -rf var/di/* var/generation/* var/cache/* var/log/* var/page_cache/* var/view_preprocessed/pub/*
rm -rf generated/code/* generated/metadata/*
上の二つのコマンドでMagento2のキャッシュをクリアします。また、rm ではじまるコマンドで、Magento2の pub/static var generated 以下のフォルダ内ファイルをすべて削除します。これにより、Magento2が生成している既存ファイルが消えるので、アップデート後に新しいファイルが自動生成されても、エラーとなりません。

Composerのキャッシュクリア
php composer.phar clear-cache
これは、すでにComposerの導入されている環境でMagento2をアップデートする際に必要となるコマンドです。Composerのキャッシュがサーバーに保存されていると、ダウンロード/インストールが正常に行われないケースが稀にあるので、念のため事前にキャッシュをクリアにしておきます。
このアップデート時にはじめてComposerをインストールする場合は、このComposerのキャッシュクリアは特に必要ではないので、とばしていただいても構いません。

Magentoアップデート
php composer.phar require magento/product-community-edition 2.2.5 --no-update
php composer.phar update
この二つのコマンドが、今回のアップデート動画のキモになります。
一つ目のコマンドで、composer.json ファイル内のMagento2のバージョン情報を、2.2.5 へ書き替えています。他のバージョンへのアップデートの際には、この数字を置き換えてください。--no-update というオプションは、文字通り「アップデートはしない」という意味で、アップデートのためのコマンドなのにアップデートしないようにさせているのは不思議なのですが、おそらく、ここで一息にMagentoをアップデートはさせず、つづく次のコマンドで、Composerで管理している他のライブラリと同時にアップデートをさせているのだろう、と私は理解しています。
動画で見ていただけるように、php composer.phar update のコマンド後に、新しいバージョンのライブラリが、vendor フォルダ以下にダウンロード/インストールされます。環境によってはダウンロードが開始するまで時間がかかることもありますので、そのままじっと待ってください。

php bin/magento setup:upgrade
php bin/magento setup:di:compile
php bin/magento indexer:reindex
php bin/magento cache:clean
php bin/magento cache:flush
上記のコマンドで、Magentoのデータベースの更新、コンパイル、indexの更新、キャッシュクリアを行っています。この一連のコマンドは、アップデート時に限らず、新しくエクステンションをインストールしたり、テーマをインストールしたりする際にも使う、Magento2の定番コマンドです。

メンテナンスモード解除
php bin/magento maintenance:disable
最後に、上記コマンドでメンテナンスモードを解除してください。

3. Composerのインストールについて

Composerでアップデートをするので、Composerが必要になります。
Magento2本体をインストールした時、はじめからComposerでMagento2をインストールしていれば、その環境にはすでにComposerが入っています。しかし、cPanelから1クリックでMagentoインストールしていたり、Zipファイルから手作業でインストールしていたりする場合は、アップデート前にComposerをインストールする必要があります。
今回の動画では、Composerのない環境でのアップデートを前提にしていますので、動画内でComposerのインストールも行っています。

共用サーバーをお使いで、ご自身の環境にComposerが入っているかどうか分からないという方は、FilezillaやFile Managerで、Magento2のルートからMagentoのファイル群をざっと見てください。
以下の画像のように、composer.json と composer.lock のファイルがあるのに、composer.phar というファイルが見当たらないのなら、その環境にComposerはインストールされていません。Composerがインストールされていなくても、composer.json と composer.lock の二つのファイルは(Magento2の本体ファイルに同梱されているので)元々存在します。Composerのインストールの有無は、composer.phar というファイルの有無でチェックしてください。

また、root権限のあるVPS等で、Compserがグローバルにインストールされているかどうかは、composer -v のコマンドで確認することができます。Composerがインストールされている環境であれば、Composerのバージョン情報が表示されます。

Composerインストール

4. Magento2のパーミッションについて

もう一点、アップデート前に確認しておくのは、パーミッションの設定です。
共用サーバーでMagento2をインストールしている際には、適切なパーミッションに自動で設定されているのが一般的ですが、VPSやクラウド環境では、ご自身でパーミッションを再確認する必要があります。
Magento2のパーミッションについては、公式ドキュメントFile systems access permissionsを見るのが一番信頼性が高いのですが、曖昧模糊とした表現で、これだけでは余計に混乱してしまうかもしれません。
具体的にどう設定すべきかについては、フォーラムサイトMagento 2 folder/file permissionsで論じられていますので、各自の環境にあわせてご参照ください。

ちなみに、パーミッションの設定が原因でアップデートに失敗すると、本来ダウンロード/インストールされるべきファイルがごっそり消失してしまうという事態に直面します。bin/magento のファイルも消えてしまうケースもあり、Magento2のすべてのコマンドが効かなくなります。つまり、サイトが壊れます。
この場合、応急処置としては、bin/magento ファイルをMagento2のオリジナルファイル群からコピー&アップロードをして、chmodコマンドで実行権限を与え、とりあえずコマンドラインだけは機能するように復旧します。その後、Magento2をいったん元のバージョンにダウングレードをして、すべてのフォルダ/ファイルを復活させます。そしてパーミッションの再チェックを行い、Composerのキャッシュをクリアします。
元のバージョンに戻すためには、ちょうどアップデートのコマンド php composer.phar require magento/product-community-edition 2.2.5 --no-update の部分のバージョン数を元のバージョン数 (例 2.2.2)に置き換えて実行してください。
道に迷ったら迷った地点まで戻るのが鉄則ですが、アップデートのトラブル時にも元に戻すのが王道になります。ただ、元に戻そうにも戻らないという状況もあり得ますので、そのような事態も想定し、バックアップは必ずとっておくようにしてください。

5. Magento2のモードについて

本番環境でMagento2がproductionモードになっている場合は、Magento2のアップデート前に、developerモードに変更をしてください。(*)
流れとしては、メンテナンスモードにした後、php bin/magento deploy:mode:set developer とdeveloperモード変更のコマンドを入力してください。そして、アップデート終了後(メンテナンスモード解除後)に、再度、php bin/magento deploy:mode:set production とproductionモードに戻してください。
Magento2のモードについては、Magento2のモード変換の記事をご参考にしてください。

(*)万一アップデートでエラーが発生すると、developerモードの場合、そのエラーメッセージがブラウザに表示されてしまうので、事前にテスト環境でアップデートが問題なくできることを確認してください。基本的にはdeveloperモードでのアップデートが推奨されますが、本番環境においては、念のためにproductionモードのままアップデートをしてもいいかもしれません。

Magento2アップデート

Magento2アップデート

Magento2の三つのアップデート方法、マイナーアップデートとメジャーアップデートの違い、アップデート前の準備や注意事項など、Magento2のアップデート全般について説明しています。

Magento2アップデート

Adobe+Magentoは、オープンソースであり得るのか?

By |2018-09-13T18:48:03+09:002018年5月23日|Categories: Magentoバージョン|Tags: , , |

1. AdobeがMagentoを買収

2018年5月22日、AdobeがMagentoを買収するというニュースが流れました。

Adobe acquires ecommerce CMS Magento for $1.68 billion
https://thenextweb.com/insider/2018/05/22/adobe-acquires-ecommerce-cms-magento-for-1-68-billion/

Adobe、Magento、双方とも公式ブログでの表明もあり、具体的なプランについては触れられてはいませんが、アナウンスによると、現状のAdobe Experience Cloudのサービス内にMagentoが導入されることになるようです。Experience Cloudの内容は、日本のAdobeのページを見ると日本語で読めるので、イメージがつかみやすいです。

ここからすぐに連想するのは、Magento Enterprise Cloud Edition(有料)が、そのままAdobe Experience Cloudに移行するのではないか、ということです。CloudのないMagento Enterprise Editon(有料)の顧客についても、やはりAdobeのサービス内に段階的に統合されていくのではないかと想像します。(あくまで私の個人的な予想です。)

問題は、Magento Community Editionの、無料のオープンスース版です。
MagentoがAdobeに買収されてしまったら、オープンソースのMagento(無料)を使うことができなくなってしまうのではないか、という懸念があります。
なにせ、Adobeはクローズドなソフトのライセンス料を主な収益としてきた会社であり、その意味では、Magento社とは水と油のような関係です。

上のニュース記事でもこの点について触れていて、この記事では、比較的楽観的にコメントされています。

AdobeがMagentoオープンスースを変えるか

曰く、”Adobeには、開発者や運営者が無料で使えるいまのMagentoのあり方を変える計画があるかもしれない。しかし、この点に関しての詳細は、買収手続きの完了後に公表するとAdobeは言っている。実際、Adobeには、Adobe XDなどの無料で使えるサービスも登場している。そう考えるなら、Magentoオープンソースが生き残る道はあるだろう。”

これも、この記事を書いた人の予想、憶測の範囲かもしれませんが、当面の方向性としては、この可能性は決して小さくないのではないかと思います。

2. Magentoはいつまでオープンソースとして使えるか

プレスリリースの発表後まもなく(というか、ほぼ同時に)、Adobeブログ内に重要な記事がアップされました。

Doubling down on Adobe’s open platform vision with Magento
https://theblog.adobe.com/doubling-down-on-adobes-open-platform-vision-with-magento/

Matt Asay 氏という、Adobe開発チームの人の書いた記事で、買収ニュースにより、Magentoコミュニティーからあがる疑問や懸念に対して、先取り的に回答しています。なので、これは、かなり入念に準備されて書かれた原稿であると思われます。

この中で一番目を引いたのが、

The point is: open source is in our DNA. We know that the key to getting value from open source is by giving value through contribution to and collaboration with these active developer communities. We’re excited to do much, much more with Magento.

この一節です。

“オープンソースは、AdobeのDNAに組み込まれている。開発者コミュニティーにおいて、相互に貢献し、共同作業をし、価値を分け合うこと。このことにこそオープンソースの意義がある。Adobeは、Magentoコミュニティーとの共同作業ができることに、とても、とても、エキサイトしている。”

Matt氏は、Adobeのサービスの多くがオープンソースに依存しており、いまやGitHubにも何人ものAdobeの開発者を見つけることができる。なので、AdobeがMagentoのオープンソースとしての価値を否定することはないと強調しています。むしろ、Adobeは、Magentoコミュニティーの一員になったのだいう切り口で、「買収」という主従関係を棚上げにさえしています。

Twitterでは、Matt氏は、様々な質問にざっくばらんに回答しています。

Magentoコミュニティーについて

「Adobeは、Magento単体というよりも、むしろ、オープンソースの強味を必要としている。
これはこれからも継続し、成長し、広がっていくものだ。」

Magentoコミュニティーについて

Q「Magentoは、これからも長い間、オープンソースであり続ける?」
A「10,000年を、その”長い間”としてカウントしていいかな。」

もちろん、これらのMatt氏の言葉を、買収による一時的混乱を避けるためのAdobeの広報、と捉えることもできるかもしれません。実際、詳細なプランはこれから検討協議されるはずであり、一定期間の後に、AdobeがMagentoをクローズにしてしまう可能性を完全に払しょくすることはできません。Adobeが内々にMagento3/MagentoCCを開発する可能性も無きにしも非ずなのです。

ただ、現行Magentoのコードは、その25%ほどがコミュニティーの貢献により組み込まれたものと言われており、Magentoの魅力を支えているエクステンションにしても、ほぼすべてがパートナー会社、ベンダー、エージェントによる開発です。
MagentoがMagentoであるのは、Magentoのコミュニティーが存在するからであり、オープンソースとしてのアクセスを遮断すれば、MagentoはMagentoではなくなってしまうに違いありません。

例えば、Magentoと同様に多言語多通貨のECプラットフォームとして、PrstaShopというアプリケーションがありますが、PrestaShopにも、オープンソース版とCloud版があり、両者は共存しています。
アプリケーション開発の一部をコミュニティーに委ねることで、企業としてはコスト削減と同時に、プラグイン/モジュール等で商品価値も高めているわけであり、ビジネスモデルとして十分に機能しているのだと言えます。

もし数年後のAdobeが、このようなモデルはワークしないと判断し、唐突に戦略を変更するとしたら、Magentoコミュニティーからの反発は避けられず、端的にM&Aの失敗ということになり兼ねません。

Magentoのパートナー会社は全世界に数千あると言われており、数万、数十万の開発者がMagentoに関わっています。
いくらAdobeでも、そのすべてを「買収」することはできません。
なので、当面は、Matt氏の上記の言葉を素直に受けとめておいていいのではないかと思います。

前回の記事、Magento1.9と2.xの各バージョンのサポート期限についてでは、今夏~今秋にリリース予定のMagento2.3のサポート期限を、2020年秋頃と予想しましたが、最悪でも、その時期までは、Magento2.3のオープンソースは、無料で使いつづけることができるだろうと考えます。既にリリースの決まっているバージョンのサポートを、途中で打ち切るようなことは、どのような条件下でも考えづらいからです。

では、その後はどうなるのか?
いまのところ、なんとも分からない、というのが実情ではないでしょうか?

将来的に、仮に Adobe Magento CC のような安定バージョンが月額数千円で利用できるなら、それはそれでハッピーなことかもしれません。
ただ、その場合も、周到なスケジュールの下で徐々に流れを作っていくと思うので、現在のMagentoコミュニティーが突如消滅するようなことはないだろうと思います。

Adobe+Magentoの方向性について、また新しい情報が入りましたら、追々このブログにてご紹介いたします。

Magento1.9と2.xの各バージョンのサポート期限について

By |2018-09-13T17:46:15+09:002018年4月14日|Categories: Magentoバージョン|Tags: , , , |

1. Magento2.3のリリースについて

先日、Magento公式の開発者ブログで、Magento2.3のリリースとPHPバージョンについて触れる記事がアップされました。

PHP 7.0 Support is Dropped in Magento 2.3
https://community.magento.com/t5/Magento-DevBlog/From-PHP-7-0-to-PHP-7-2-in-Magento-2-3/ba-p/91371

この記事によると、Magento2.3バージョンから、PHP7.2バージョンが新たにサポートされ、逆に、PHP7.0バージョンはサポート対象外とされるようです。
現行の最新バージョンは、Magento2.2.3ですが、2.2.xをPHP7.0で動かしている方は、次に2.3へアップグレードする際に、PHPバージョンのアップグレードも同時に行う必要があります。
Magentoサーバーでご紹介している海外サーバーであれば、cPanel管理画面上から、簡単にPHPのバージョン変更を行うことができます。

PHP7.0 Support is dropped in Magento 2.2.3

記事では、Magento2.3のリリースは2018年と書かれていて、リリース後2年間のサポートとなるようです。リリースが2018年のいつ頃かは明言されていませんが、おそらく秋口になるのではないかと思います。
PHPのバージョンごとのサポート期間が、上記ブログでも画像で引用されていますが、PHP7.2が2020年11月30日までのサポートなので、2年間のサポート予定となるMagento2.3は、逆算して、2018年11月までにリリースされるだろうと予想されるからです。

ちょうど、Magento1.9系のサポートが2018年11月までなので、Magento2.3のリリースは、まさにそのタイミングにあわせて、「これがMagento2の真打ちだー」のような切り口で宣伝されるだろうと思います。
実際、1.9からの移行組は今年後半から増えていくと思うので、Magento社としても、ここである程度安定したMagento2を出さないと、ユーザーの大量離反というシビアな事態に直面するはずです。
個人的には、とりあえず新機能はそこそこにしておいて、とにかくECの基本機能に関わるバグを一掃してほしい、というのが正直な感想です。

2. Magentoのサポート期限について

いまMagento1.9以下で運営されている方も、あるいはMagento2.xで運営されている方も、各バージョンがいつまでのサポートなのか、はっきり意識しておくのもいいと思います。
ちょっと探したのですが、Magento公式のページでまとまった表のようなものが見つからなかったので、フォーラムサイトStackexchangeから引用いたします。

Magento 2: When will 2.0 support stop?
https://magento.stackexchange.com/questions/141750/magento-2-when-will-2-0-support-stop

Magento各バージョンのサポート期限

フォーラムでのこの質問自体はやや古くて、「Magento2.0のサポートはいつ終了するのか」という題で、2016年10月に投稿されています。
回答欄では、Magento開発の中心メンバーの一人であるBenMark氏の別板でのコメントを引用し、Magento2.x系のマイナーバージョンのサポートはそれぞれ2年間、と示されています。Magento2.3のサポート期間も、このBen Markの「2年間」コメントと合致するので、当面、Magento社の基本方針と考えて良いと思います。ちなみに、上記フォーラムでの LTS というのは、Long Term Support の省略になります。

バージョン 系列 リリース日付 長期サポート期限
Magento 2.3 Magento 2.3.x CE&EE 2018年秋頃予想 リリースから2年間
Magento 2.2 Magento 2.2.x CE&EE 2017年9月27日 2019年9月27日
Magento 2.1 Magento 2.1.x CE&EE 2016年6月23日 2018年6月23日
Magento 2.0 Magento 2.0.x CE&EE 2015年11月17日 2017年11月17日
Magento 1.9.3 Magento 1.x.x.x CE (2015年10月11日) 2018年11月17日

ライブ環境としてはまったく使いものにならなかったMagento2.0系のサポートはすでに終了し、2.1のサポートも、まもなく今6月で終了します。
現行最新の2.2も、来年の9月にはサポート切れになってしまうので、このスピード感あるスケジュールは、サイト運営者にとってはやや負担が大きく、これが延々と繰り返されるのかと思うと、正直、憂鬱になります。(開発者はわくわくするのかもしれませんが。)

Magento1.9(1.x.系)は、Magento 2の初リリースから3年間のサポートとされているので、今年2018年の11月17日にサポート切れとなります。
これも、巷ではいろいろと噂されているようで、1年延長された、とか、ここで打ち切りできるはずがない、ユーザーの切り捨てだ、など様々に語られています。
実際どうなるのか、さっぱり予想ができないのですが、仮にアナウンス通りに、2018年11月17日でMagento1系のサポートが終了したとしても、その日をもって、突如としてMagento1.9が使えなくなる、とか、作動しなくなる、というわけではありません。

「サポート」というのは、主に、Magento社で該当バージョンのためのセキュリティーパッチを開発し、提供するということを意味しています。なので、サポート終了後も、ECアプリケーションとしてのMagentoの機能は、当面は継続して利用することができます。
サーバー側でしっかり環境を整備し、可能な限りセキュリティレベルをあげれば、Magento1.9も、おそらくあと数年は現役でいられだろう、という見解もあります。
MagentoデモのMadisonテーマでは、Magento1.9のデモサイトを公開していますので、よろしければ、2系のデモと比較してみてください。フロントを見る限りでは、それが古いシステムとはまったく感じられないと思います。

いずれにせよ、今年、2018年の後半は、Magentoに関わる人にとって、非常に重要な時期になるのは間違いありません。

追記:2018年5月2日に、Magento2.2.4がリリースされました。
Magento Open Source 2.2.4 Release Notes
かなり多くのバグ修正がなされているようです。
また、新たにデフォルトでいくつかのサードパーティ決済モジュールが入れられており、その中にAmazon Payがあります。Amazon Payは、Githubにある公式のエクステンションが不具合が多いので、正直、嫌な予感しかしません。(dotomailerといい、なぜデフォで入れなければならないのでしょうか?)アップデートは、数週間ほど、様子見したほうがいいのではないかと思います。

追記(7月12日):2018年6月27日、わずか2カ月足らずで、Magento2.2.5がリリースされました。2.2.4はスキップし、2.2.5へアップデートいたしました。

追記(9月13日):Magento1系のサポートが延長されました。

Magento2は本当に使えるのか?

By |2019-05-29T11:11:46+09:002017年12月15日|Categories: あいさつ, Magentoの設定, Magentoバージョン, 中国越境EC|Tags: , , |

結論から言うと、もう少し待つべき、です。

Magento2系は、2015年11月に2.0.0がリリースされ、先日2017年12月14日の段階で、2.2.2までバージョンが更新されました。
初リリースから2年を経て、バグや不具合の修正はだいぶ進んだと言われていますが、それでも、まだ基本機能にさえ様々なバグがあると報告されています。

たしかにMagento2のインターフェイスの改善は素晴らしく、管理画面の見やすさは明らかに向上しました。
しかし、JavaScriptを多用しているためか、オンラインストアの生命線ともいうべきチェックアウト(カート画面)の読み込みが重く、Magento社の公式案内のスペックを満たしている環境下でも、Magento2のカート画面がサクサク動くという保証はありません。
新規サイトでアクセスが限られているストアであればともかく、現実的に一定のアクセスのあるフルライブ環境での実用を考えると、特にスマートフォンでの表示スピードに関しては、有料のエクステンションを入れて補強するか、あるいは相当なスペックのサーバー環境で構築する必要があるのではないかと思います。

いままでのMagento1系は、通常のシェアサーバーでも安定して動き、その導入の容易さから、小規模のストアでも世界中で数多く利用されてきました。利用者が多いのでMagentoベンダーも増え、それが結果的にたくさんのフィードバックを生み、速やかなバグ修正や機能向上に結びついてきました。
しかし、Magento2系においては、Magento社の戦略かどうかは不明ですが、どちらかと言うと、大規模ストアを前提に開発が進められているという印象があります。それは、Magento2の利用において、CLI(コマンドラインインターフェイス)での操作が推奨されている現状とも無縁ではありません。

Magento2のストアにテーマやエクステンションを新しくインストールすると、その度にSSHアクセスをして、黒い画面を開き、コマンド作業でMagentoのファイルを展開しなければならないのです。コマンドそのものはよく使ういつくかを丸暗記のように覚えればいいのですが、プログラミングに無縁の素人にとっては、これほど億劫なことはありません。(コマンド作業の例は、Magentoテーマの動画をご参照ください。)

しかも、Magento2では、エクステンションのインストールにComposerを使う方法もスタンダードになっていて、これは、コマンド初心者にはかなりハードルが高いと言えます。Composerは、PHPで作成されたファイルをローカル(自分のパソコン)に落とさずに、直接ネット上でファイルを引っ張ってきてダウンロード/インストールするためのプログラムです(と、とりあえず私はそう理解しています)。はじめてComposerの存在を知り、そのサイトを訪れた時、ベートーベンの厳つい顔のイラストが目に飛びこんできて、かなり面喰ったのを憶えています。なんだ、これは、と。

https://getcomposer.org/

思えば、Magento1系においては、Magento Connectを使うことで、画面上の操作だけでエクステンションをインストールすることができました。WordPressのようにクリックするだけでプラグインのインストールが完了するほどの爽快感はありませんが、それでも気軽にエクステンションのインストールを行い、ストア機能を拡張させることができました。
ところが、Magento2系においては、Magento Connectを引き継ぐMagento Marketplaceが、いまだベータ版のような状況で、エクステンションのストックも豊富ではありません。管理画面のSystem > Web Setup Wizardと連携して、Marketplaceで購入したエクステンションを画面上の操作だけでインストールできるように設計されていますが、環境により不具合も多く、安定して使えるようになるまでは、もうしばらく時間がかかりそうです。
また、Setup Wizardは、操作画面上からMagento2のアップデートもできるようになっています。しかし、これも失敗すると既存ファイルを消してしまい、ストア全体を壊してしまう不具合も報告されているので、注意が必要です。

一般のストア運営者は、デザインをいじったりコンテンツを更新するだけでなく、受注処理をすることに日々のパワーを使います。なので、管理画面の使い勝手や更新のやり易さが、プラットフォームの必要条件です。
しかし、Magento2は、お世辞にも使い勝手が良いとは言えません。もちろん、これは将来的には徐々に洗練化されると思いますが、今までのところ、むしろ、一般の運営者を遠ざけるかのように、わざと導入を難しくしているのではないかと勘繰りたくなるようなこともあります。つまり、サイト構築やサーバー管理を外注するような、ある程度の予算のある中規模以上のサイトを平均的利用者として想定しているのではないかと思わせる節があります。

もっと言うと、Magento社は、無料のオープンソース(CE版)の普及はそこそこにしておいて、エンタープライズ(EE版/ECE版)の契約をとれればいい、と割り切っているのかもしれません。
ちなみに、EE版の年間契約は日本円で約250万円~、ECE版(EE版+AWS Cloud)の年間契約は約450万円~と言われています。

実際、Magento2がリリースされた前後から、Magentoのシェアが増えたという話を聞いたことはありません。

サーバーインストール型のECアプリケーションとしては、WordPress+WooCommerceが高機能化したり、Magentoと同様に多言語多通貨対応のPrestashopなどの人気が上昇しました。また、ASPサービスとしては、Shopifyの存在感が圧倒的なものになりました。
Magento1系の公式サポートが2018年秋までと言われ、にもかかわらず、Magento2はまだ不安定で動かせないとなれば、よほどのMagentoマニアでない限り、Magento1系の運営者が他のサービスへの乗り換えを検討するのは自然なことです。Magento社が、このような流れを予想しなかったわけはありません。私の知人にも、Magento1.9からShopifyへ移転した人がいます。
Shopifyは一つのアカウントで多言語ストアの構築はできませんが、多通貨決済には対応しているので、単一言語(特に英語)のサイトを運営するのなら、実のところShopifyで必要十分なのです。

まして、日本人ターゲットの日本語のECサイトを構築するのなら、日本人の感性にマッチしているEC-CUBEやショップサーブなどを優先して使うべきです。スタートアップの日本語サイトが、わざわざ時間とお金と手間をかけてMagento2を選択しなければならないような理由は、私には思いつきません。もちろん、自らMagento構築のできるサイト運営者が、維持費削減のためにMagentoを使う例はあるかもしれません。あるいは、中規模~大規模のサイト運営者が、Magento2の高機能に魅かれて既存のプラットフォームからの移転を検討する例もあるかもしれません。しかし、その場合も、しっかり運営を継続していくためには、フロントエンドのデザイン内にchildテーマを作成し、日本人向けに相当カスタマイズする必要があると思います。Magento/Magento2のインターフェイスは、平均的な日本人にとって、決して馴染みやすいものではないからです。

Magentoが真に活きるのは、例えば香港のサーバーに英語デフォルトで構築し、同じストアを中国語(繁体字)で表示、さらに大陸の中国人もターゲットに含めるために普通話(簡体字)でも表示する、というケースです。この場合、決済通貨は香港ドルと人民元の2本建てとし、簡体字/人民元ストアは香港ドルのストアとは別ストアあるいは別サイトとして設定する、というマルチストア構成になります。

あるいは、東南アジアのマレーシアなどは多民族国家で、マレー語、英語、中国語が標準語として使われています。そのような地域をターゲットとする場合、同じストアを複数の言語ストアビューで表示し、ストアとしては統一します。そして、隣りのシンガポールもターゲットにするため、マレーシアのストアの商品内容(英語のストアビュー)はシェアするが、デフォルト通貨をシンガポールドルで決済できるように別サイトで構築する、というように、文字通りの意味での多言語多通貨のマルチストア構成を、一つのMagentoインストールで実現することになります。

Magentoは、日本で、越境ECサイトの王道と言われています。それは正しいのですが、使いこなすのは容易なことではありません。中国語圏向けの越境ECにポテンシャルがあると言われているのに、一方で、その越境ECの「王道」Magentoの基礎言語が英語であるということの矛盾は、ほとんど顧慮されていません。つまり、英語も中国語もそこそこできて、尚且つMagentoも使えなければ、中国語のMagentoストアを構築することはできないのです。(当たり前と言えば当たり前の話なのですが。)

構築も運営も外注してしまうと、コスト的に割に合わないような小規模サイトの運営者は、どうすればいいのでしょうか。自力で勉強してMagentoサイトを作るとなると、お金はさほどかかりませんが、膨大な時間が必要とされます。海外サーバーであれば、Magentoのインストールは1クリックでできますが、その後の作り込みや運営は、やはり一筋縄ではいきません。

そもそも本当にMagentoが必要なのか、という視点でプラットフォームの選択を再考してみるのもいいかもしれません。
Magentoは、サイト運営者にとって、目的ではなく、手段の一つです。自分のストア展開にとってMagentoの他にベターな選択肢があるのなら、そちらを選ぶべきです。
それでも、ASPのような制約のあるプラットフォームではなく、自由にサイト構築をできるMagentoのほうがいい、多言語構成を最小のコストで実現したい、越境ECサイトだからMagentoの世界標準のインターフェイスがほしい、というケースは多いと思います。立ちあげで苦労しても、ASPで発生する永続的なコミッションを考えれば、Magentoのある種の難解さは、イニシャルコストとして十分にペイする、という見解もあると思います。また、開発環境が世界規模なので、新しいECのトレンドをいち早く取り込むこともできます。

当サイト「Magentoできるもん」は、とりあえずこれだけを押さえればMagentoサイトを構築することができる、という趣旨で公開していますので、できる限りのアウトプットをし、今後コンテンツの充実をはかりたいと考えています。

Magentoデモ・導入事例のページで紹介しているZENVAVAというライブ環境のサイトがあるのですが、これは、2016年初頭に、1年ほどの準備期間を経て、Magento1.9でオープンしました。
実は、このZENVAVAサイトを、いま、Magento2.2へ移行しようとしています。

この1.9→2.2の移行作業については、目下のことろ、2.2.でCSVの商品一括データをインポートできない(エラー回避できない)、複数選択商品の在庫の有無がConfigurable Swatchesにきちんと反映されない、等のバグがあり、いささか途方に暮れています(*)。
1.9のSQLデータは、Magento社の公開しているMigration Toolで移行できたのですが、商品詳細の変更箇所などCSVで対応しようと予定していたことができず、結局手作業で編集しています。

つくづく思うのですが、Magentoの本当に面倒なところは、なにか不具合が発生した時に、それが自分の作業のミスなのか、サーバー側の設定に問題があるのか、あるいはサードパーティーのテーマ/エクステンションとの兼ね合いに齟齬があるのか、それともMagento本体のコードにそもそもバグがあるのか、すぐには分からないことです。上記のケースも、検索してみてると複数の人が同じようなトラブルを報告していて、且つ一様に解決していないので、それらの情報の最大公約数的なところを総合して、「たぶん、これはMagento2のバグなのだろう」と暫定的に結論づけています。

おそらく動いてくれるだろう、という感触はあります。
しかし、もしお急ぎでないのなら、Magento2系は、あと半年くらい、2018年初夏くらいまで待つのがいいのではないか、というのが私の個人的な感想です。
(もっとも、新規の立ちあげには時間がかかりますので、Magento2でサイト構築をスタートするには、今がちょうどいい頃合いとも言えます。)

Magentoのエクステンションを販売している海外の開発者も、自らのエクステンション販売サイトは、未だMagento1.9のままの人が多いです。Magento2のエクステンションを、Magento1.9のストアで販売しているのです。

彼らのストアがMagento2へ移行する時、その時こそ ”機は熟した” と見るべきかもしれません。

(*)Configurable Swatchesの表示バグは、ここここで論じられています。
2016年8月に報告されているバグが、2017年12月現在も解決されておらず、第三者モジュールmjankiewicz/MagentoConfigurableProductを入れないと修正されません。2.1.xでこの修正がコアに回収されたようですが、2.2.xから同じバグが再現されているようです。

追記(2017年12月末)
ZENVAVAサイトのMagento2への移行は完了しましたが、同上モジュールの採用は見送り、コア修正を次のアップデートまで待つことにしました。いかなる理由であれ、Magentoのコアコードに手を入れてはならない、というのが鉄則だからです。表示の改善は必要ですが、在庫有り商品の受注には影響は出ていません。

追記(2018年7月)
Magento2.2.5へのアップデートにより、上記バグは解消いたしました。